人生の採点は誰がする

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他人様の人生  

実は6~年前まで、老人施設のケアマネをしておりました。

介護の仕事に就いた切っ掛けは、実母の認知症発症から見送り迄のプロセス、

諸問題を経験した結果ですが、もぅ~20年以上前になります。

当然スタートは現場からで、広いホーム内を駆け回りお世話をさせて頂く

過程で折に触れ、嫌でも見え隠れしてしまう人様の人生。

世間的には、お金持ちで社会的にも成功者と言われる立場の方々ですが、

お金の有る無しに拘らず、人生に苦労が付いて回るようです。

むしろお金があるからこそ、の苦労も多いのかも知れません。  

「真実は小説よ・・・・り・・」と申しますがそんなお話です。

そんな中でも忘れられないのが、80代後半(女性)Tさんの人生。

 

認知症による感情の起伏が激しく、暴力・異常行動が見られましたが、

時として姐御気質な面も見られて、精神面で落ち着いている折には

思い出したように苦労話を聞かせてくれました。

時には焦点の合わぬ目で、見えぬ者を相手にを独り言のように語り続ける。

チョットずつ耳にした言葉や話が、パズルのピースを埋めるように

自然と繋がって行くのでした。

 

Tさんは建設会社(工務店かも)を手広く営み、旦那様が亡くなった後も、

事業を引継ぎ女社長として経営手腕を発揮していたようです。

Tさん・・・・「銀行へ行ったら〇〇✕〇〇▽って言うんだよ!」

「銀行になめられては、駄目だ!」等と厳しい顔で言うで姿に

肝っ玉女社長振りが伺えました。

 

お天気の良い暖かな日、車イス押して外へ散歩、久々の外気が

よほど気持ちが良かったのでしょう上機嫌。

その日は何時もより言葉も多く、亡くなった旦那様の話をされ、

「あの人はね~~ぇ、好い人なんだけれど女の人が好きでね・・・」と笑う。

Tさんには実子は無く、旦那様が外へ作った子供を育てたとの事でした。

それが解った発言「悪さをした子供にお灸をすえた、それを世間から

自分の子供じゃないからと言われた」「違う!違う!そうじゃない」

「可愛いから、可愛かったから遣ったんだ」と悲しい顔を見せた。

血が繋がらないからこそ、立派に育てなければと厳しく躾けたの

だろうなぁ~と、Tさんの一生懸命さが解る気がした。

しかし世間はTさんの気持ちを理解すること無く、愛人の子だから

継母だから子供を虐めていると非難したのでしょう。

 

この息子さんは立派に成人され、事業の方も引き継ぎ月2回のペースでTさん

好物の菓子折りを持ち、面会に来ておりました。

Tさんは、こんな話も「東大って、お金が幾らも掛から無いんだね~」

・・・と不思議そうな顔でしたよ。頭の良い子供さんだったんですね。

苦労はしましたが、今世の課題見事クリアー・さて人生の採点は?

 

プラス出来事

ある日の話💩臭でオムツ交換中の出来事、とんでもなく機嫌が悪かったの

ですが、酷い💩臭にオムツの交換をせざる得ずオムツを広げると右手が

お尻に伸びて来た、オムツかぶれで痒いのかぁ?と油断。

指にはベッタッ💩!その💩指を私の顔に擦り付けようとニヤニヤ、

・・・ええー!・や・や・やめろー!って。

何とか避けるが、白いポロシャツの襟にはTさん💩。

当時制服(白のポロシャツ・ピンクのスラックス・食事用・排泄など用各1枚)

 

その日の昼食介助でTさん、食堂内で大声「おばさんー」「おばさんー」の連発。

食事介助はヘルパー1人で、4~6人お世話をしなければならない。

(寝たきりの入居者は、ベッドから車椅子へ移動そして食堂・食事・薬服用、

その後一定時間を置き再び部屋に移動、ベッド上で横になって頂くまでが担当)

 

其れはともかく、余り騒ぐので軽い気持ちで「おばさんじゃ無くて、お姉さんでしょ」

と私、ジィーーィーィーと私の顔を見ていたTさん「??・?といった様子」

次の瞬間、私を指さし大声で「おばさんだよーー」「ばばぁーーだよ」と、

・・・・・一斉にヘルパー仲間の笑い声(ムム・・)

 見てるんだよね,判っているんだよね。認知症でも騙せなかった。  

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