母の日

哀しみは、誰の胸にもある。

哀しみの形は、人それぞれ。

今年も「母の日」が・・・・・来る。

 

新聞広告やスーパーマーケットの、それぞれの売り場で

母の日のプレゼント企画商品が、一番目につく場所を占領。

派手にディスプレーされたコーナーを素通りしながら思う。

 

普段は忘れた積もりで居た、哀しみが鉛色の雲と姿を変え、

腹と胸の境界線辺りから、重い悲しみが胸を占領して来る。

 

平成4年5月、それは起きた。

・・「母さん、お店においでよ」

・・「高くっても好いよ、母さんの好きな物をプレゼントするよ」

   ニコニコと、笑顔で語り掛ける息子。

 

息子は、大手百貨店に勤めていた。

毎年この時期になると、この時の情景・表情が思い出される。

あの頃40代だった母さんも、今は70代のお婆さんになったよ。

・・息子よ、そっちの世界で上手くやってるかい?

・・息子よ、困った事は無いかい?

・・おまえがそっちの世界で、困らずに楽しく遣ってくれる

  事が一番のプレゼントだよ。

・・息子よ、母さんは、もう少しこっちで頑張ってから行くからね。

・・息子よ、それじゃあ~ね、会うのを楽しみにしてるよ。

 

      

 

                      それでは~